悟の学習帳

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【書評】戦争と農業ー私たちの食生活から考える

 

 こんにちは

悟です。

 

今回はテクノロジーと戦争に関する本を紹介します。

 

 

世間一般では軍事開発と科学研究は別物であるべきだと言われていますが、これまでの歴史で、科学と戦争は表裏一体の関係でした。

 

「他国を出し抜くために新兵器を開発する」

 

もしかしたら国防関係の人からすれば常識かもしれません。

本書ではその中で「農業」に焦点を置いています。

 

ちなみに、民間技術を軍事転用することを「スピンオフ」と言います。

 

 

 

本書の目次

 第一講 農業の技術から見た二十世紀

 第二講 暴力の技術から見た二十世紀

 第三講 飢餓から二十世紀の政治を問う

 第四講 食の終焉

 第五講 食と農業の再定義に向けて

 第六講 講義のまとめと展望

 

 農業における4つの革命

 

現在、地球の人口は70億人に達しており人口増えすぎ問題が出てきていますが、1900年の時世界人口は20億人ほどでした。

まさに人口爆発です。

 

この人口爆発を支えたのは、「農業の革命」です。

 

その農業の革命は、農業機械、化学肥料、農薬、品種改良です。

本書では「二十世紀の人口増加を支えた四つの技術」と呼んでおり、農業だけでなく人間も変えたとしています。

 

技術が人を変える例として、全自動洗濯機や電気掃除機が挙げられます。

これらにより、洗濯や掃除の難易度は劇的に簡単になり、簡単になった故に頻繁にしてこなかった作業が毎日の仕事になってしまいました。

更に、家事が機械化されることによって男性はますます女性に家事を任せるようになります。

 

このように、道具に人間が引っ張られ、様々な変化を起こしてきました。

農業も例外ではありません。

 

以下では農業に革命をもたらした4つの技術のうち、農業機械と農薬について戦争と表裏一体であることを説明していきます。 

 

 

農業機械と戦車

 

農業機械と戦車が何となく似ていることはすぐわかると思います。

初めに開発されたのは農業機械で、トラクターの履帯(キャタピラ)を見て、戦争現場の不装地帯を突破することができるかもしれないイギリスとフランスの軍人が思いつき、軍事転用されました。

 

そのため、平時のトラクター工場は戦争時には戦車工場になったようです。

 

毒ガスと農薬

 

毒ガスは先ほどの戦車と同じ第一次世界大戦の時に開発されました。

この戦争では兵士が塹壕に潜って戦争をしていたため、そこに毒ガスをまけばいいのでは?という発想から生まれました。

 

世界で初めて毒ガスを開発したのはドイツのフリッツ・ハーバーで、理系の人であれば聞いたことがあるはずです。

そう空気中の窒素を固定してアンモニアを合成するハーバー・ボッシュ法と同じ人物です。

 

授業では基本的に、化学肥料の大量生産が可能になったと教わりますが、最初の目的は毒ガスでした。

 

戦争が終わり、アメリカでは毒ガスが大量に余ってしまい、新しい利用法として考えられたのが、盛んだった綿花栽培の害虫駆除です。

 

飛行機に毒ガスを載せて、綿花畑にまく。

 

なんとなく空爆に似ているものがありますよね。

 

更に、その綿花畑で働いていたのは当時奴隷制度で連れてこられた人々でした。

 

 

食の問題と人間の欲望

 

近年、食に関する問題をよく耳にしますよね。

牛海綿状脳症(BSE)や腸管出血性大腸菌(O157など)、鳥インフルエンザなどたびたび問題となっています。

 

ニュースではよくこれらの対策として、トレーサビリティ(産地や経由地を消費者が見れるように)を徹底する、検査を厳格にするなどが報道されていますが、残念ながら効果は限定的です。

 

もっと問題の根元を見る必要があって、その根元というのが、食の大量生産と大量破棄から成り立つ現代のフードシステムです。

フードシステムは食品の生産・流通・小売り・消費の仕組み全体をさす言葉です。

 

フードシステムを扱うのが農学部ですね。

農学部は近年注目度が高まってきています。

農学部に興味のある方はこの記事を。

 

www.satorublog.com

 

農学部の注目度の高まりについてはこちらの記事をご覧ください

 

 

 

話は戻りますが、鳥インフルエンザや大腸菌の発生は、渡り鳥が悪いわけでもなく、牛が悪いわけでもありません。

鳥インフルエンザウイルスというのは、もともと渡り鳥が持っているウイルスで、それに大量感染してしまう大量飼育に問題があるのです。

更に家畜は、健康管理を抗生物質や薬に頼っているため、ウイルスや菌も耐性を得て毒性を増しています。

 

大腸菌の発生は、我々が遠方からでも食品を取り寄せてしまうことが原因となっています。

近年は冷蔵技術や保存技術も進歩していますが、どうしても物流の境目などで高い温度にさらされてしまい、その結果として大腸菌が増えてしまい健康被害が出てしまうのです。

 

異物混入でも、我々が安い食材、安い食事を求めすぎるあまり、低コストで大量に生産するプレッシャーが労働現場を襲い、このような不正が生じてしまいます。

 

どれも、私たちの消費の仕方と密接に関わっていることがわかって頂けると思います。

 

 

まとめ

 

以上、簡単にですが内容を紹介してきました。

私たちが贅沢も、戦争があった結果だと思うと、少し考えてしまうこともあると思います。

更に、私たちが贅沢を極める中で、様々な問題が起きており、決して私たちは被害者面の出来る立場ではありません。