【書評】いま世界の哲学者が考えていること

こんにちは

悟です。

 

今回はダイヤモンド社から 「いま世界の哲学者が考えていること」を紹介したいと思います。

 

 

 

日本で哲学と言えば、「生き方」のような「人生論」か、カントやニーチェについて延々と語る大学教授のイメージが強いです。

 

しかし本書の哲学はカントの「啓蒙とは何か」という論文に書かれている内容に大きく影響を受けており、「われわれの身に何が起ころうとしているのか?」というテーマで書かれています。

 

「私たちの身に起こること」、具体的に言うとIT革命、バイオテクノロジー、資本主義制度、宗教、環境問題などです。

 

どの項目も私たちに直接関係あることですが、テレビや本でも偏った視点や強引な理論が目立ち、なかなか本質的な理解をすることができません。

 

本書を読んで、問題の本質を理解して正しい視点を持つようにしましょう。

 

 

 

本書がオススメな人

 

現代社会で話題になっている問題について興味がある人

 

哲学という学問に興味のある人

 

 

本書の目次

 序章 現代の哲学は何を問題にしているのか

 第1章 世界の哲学者は今、何を考えているのか

 第2章 IT革命は人類に何をもたらすのか

 第3章 バイオテクノロジーは「人間」をどこに導くのか

 第4章 資本主義は21世紀でも通用するのか

 第5章 人類が宗教を捨てることはありえないのか

 第6章 人類は地球を守らなくてはいけないのか

 

クローンの何が悪なのか?

 

「クローン人間」というと、なにか人間のコピーやSF映画的な危険なイメージを抱いてしまいますよね。

動物の実験ですら、嫌悪される非常にデリケートな分野です。

 

ここではクローンの原理を理解しなければなりません。

一般的に言われるクローンとは体細胞クローンと言われ、受精前の卵子から核を取り除き、そこに精子ではなく、他人の細胞の核を移植する方法です。

そこから生を受けるには、子宮に戻し通常の出産を経る必要があります。

 

なので、クローンは細胞の核(核に入力された遺伝情報)が同じということになります。

 

実は遺伝情報が同じ人間が身近にいる人もいます。

 

それは一卵性双生児です。

 

一卵性双生児は一つの卵子から生まれた双子のことです。

二卵性双生児は受精前の卵子が二つに分かれ、その後別々の精子を受精したものです。

なので一卵性双生児は遺伝情報が同じで、二卵性双生児では血液型が違うケースもあります。

 

なので、クローンは年齢の違う一卵性双生児ということができます。

 

しかし一卵性双生児を怖いものと扱う人はいません。

 

人の人生を生まれる前から操作してしまう可能性が私たちの感覚的に容認できないのはわかります。

では、生まれる子供が遺伝的に病気を発症してしまう可能性が高い場合、それを回避するのもダメなのでしょうか。

 

科学者のリチャード・ドーキンス氏は

科学と倫理は共に、何が善で何が悪かという問いには答えられない

というコメントを残しています。

 

 

 

 

どこまでが環境保護なのか

 

「環境にやさしい」「エコ」といったワードは毎日のように見聞きします。

農学部である私にとっても環境保護は重要な問題です。

私たちの生活でも、レジ袋ももらわないようにしたり、消費電力の小さい家電を選んだり色々な場面でエコな暮らしをしようと努力します。

 

では、どこまでやればエコなのでしょうか?

 

レジ袋をもらわず、マイバックにすればエコなのでしょうか?

これは現在ではレジ袋が一般的だからマイバックにすれば。エコに見えるだけで、マイバックが一般的な世の中であれば、マイバックがエコではないという理論になるような気がします。

 

消費電力に関しても、現在の平均より良ければエコ認定されるだけで、究極を言ってしまえば、家電を使っている時点でエコではないという理論になります。

 

環境保護というと、現代の便利さを全て捨てた昔ながらの牧歌的な生活をイメージしている人もいますし、便利さをそのままに、田舎へ移住し、「環境と調和した生き方」のような勘違いをしている人もいます。

 

これはディープ・エコロジーと呼ばれる考え方に影響を受けています。

ディープ・エコロジーとは、動物も植物も全てが平等で、等しく尊重されるべきだという考え方です。

 

エコロジーの根底にある考え方は本来こういうことなのです。

ディープ・エコロジーの目標を達成するには、世界の人口は10億人程度まで減少させる必要があると言われています。

 

現在行われている環境保全活動が完結する為には、ここまでやる必要があるということです。

 

 

 

まとめ

 

本書ではこのように、普段は当たり前のこととして流してしまっている「バイオテクノロジー」や「環境保全」などについて問題の根本から掘り下げて考えさせてくれる内容です。

 

当たり前を問い直す大切さを教えてくれる1冊だと思います。