【書評】AI時代の新・ベーシックインカム論

 

最近ベーシックインカムに興味があります。

全ての人に、生きる権利と真の自由を与えると言われる

ベーシックインカム

 

ベーシックインカム論について初めて出会い、

勉強し始めるきっかけになったのが本書です。

(ベーシックインカムについては別記事で近いうちにまとめたいと思います)

AI時代の新・ベーシックインカム論 (光文社新書)

AI時代の新・ベーシックインカム論 (光文社新書)

 

 

 

 

 

1.本書の目次

 第1章 ベーシックインカム入門

 第2章 財源論と制度設計

 第3章 貨幣制度改革とベーシックインカム

 第4章 AI時代になぜベーシックインカムが必要なのか

 第5章 政治経済思想とベーシックインカム

 

 

2.地方創成に効果?

  ベーシックインカムと言えば、真っ先に来ることが貧困対策だと思いますが、

本書は、いきなりに地域再生について言及しています。

地方再生はそもそも負け戦

私は大学関連で、地域再生に関わったことがありますが、

全く同じことを思っていました。

結局どうやって知恵を絞りだしても、人口流出は避けられないし、

県内1の何かならあっても、〇〇地方で唯一無二な資源のある

地域なんてそうそうないわけです。

 都会では新しい技術やアイデア、ビジネスモデルなどが集中するだけでなく、

それを求めて人が集まってくるという、正のフィードバックが出来上がっており

ますます「集積のメリット」が高まっています。

逆に地方では、自分の生活圏に食べていけるだけの収入を得られる

仕事がないといったこともあり、やむを得ず、都会へ出ていくケースも増えています。

実際に私の行った地域でも少なからず、そういった事はありました。

 

富を得るためには都会に行くしかない、

極端に言うとそういった状況が出来上がっています 

ベーシックインカムが導入できれば、

地域に残りたいと思っている人など自由な選択ができるようになるはずです。

 

3.コスト問題

 ベーシックインカムへの反論としてコストが挙げられます。

単純に金額だけで比較するのはナンセンスです。表向きの金額だけで

議論していては、変化は期待できません。

現在の生活保護では、仕事を得た瞬間に支給が打ち切られたり、支給額が減ることにより、「働き損」の状態に陥るケースが非常に多いです。

この状態では、支給を受けている人はいつまでたっても

国の経済に貢献することは出来ません。

こういった人々が社会に参加することによる経済効果を

見積もる必要があります。

一国の経済にとって実質的なコストというのは、お金を使うことではなく、労力を費やすことである。

制度の導入により行政コストが大幅に削減できるはずです(選別する必要がないから)。

しかし、それだけでなく、この選別がなくなることにより

手の空いた職員や、空いた資産を今の無意味な選別でなく、

経済に有益な活動に充てることが出来るはずです。

 

4.AIによる経済成長  

 本書が類書と大きく異なる部分は、貨幣制度を変更することに言及しているところです。

 現在紙幣を作るのは、中央銀行でその発行益(例えば1万円札だとすると、1万円‐印刷コストの残りが発行益です)は中央銀行、あるいは民間の銀行が手にしています。詳しい説明は本書を読んでほしいのですが、著者は「国が紙幣を発行して、その利益を国民に配る」様にする必要があると説いています。

貨幣発行益は、人類が手にできるほとんど唯一の打ち出の小槌であり、私たちはデフレ(ないしはディスインフレ) 下では、この小槌を副作用無しに振ることができる。

 ここだけ切り取ると、なんの事かわからないと思います。

国が紙幣を作れたら、インフレがおきるのでは?と思うかもしれませんが、

現在はデフレで、日銀は国債を買い取って市場にお金をばらまいています。

それでもインフレ目標には届いていないのです。

インフレを求めている今、紙幣を発行することは必須であり、

それを銀行に配るのではダメなら、国民に直接配るしかないのでしょうか。

この貨幣システムの変更が私は本書の一番重要な部分だと思うので

詳しくは本書を読んで頂きたいと思います。

 

4.AI時代による経済成長

 

 本書ではAIが発達することにより、爆発的な経済成長が期待できるといいます。

AIが発展するにしたがい、仕事を奪われることは間違いないでしょう。しかし、仕事が奪われるほど優秀なAIでなければ経済成長は期待できないという意味です。

 2045年には、内実のある仕事をし、それで食べていけるだけの収入を得られる人が、一割程度しかいない可能性があるということだ。

このような社会を脱労働社会と言います。 このような社会では、ごく一部の有能な人々がAIを作り、AIを使うことで爆発的な富を生み出します。このような社会ではベーシックインカムによる分配が不可欠だというのが著者の意見です。

 

5.まとめ

 長くなりましたが、私の中で本書の核だと感じた部分を紹介しました。

貨幣制度の変更についての部分と政治思想の部分は難易度が高いかもしれませんが、「ベーシックインカムの基本的な部分」と「AI時代になぜベーシックインカムが必要なのか」という問いには明確に答えられていると思います。